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東京・神奈川でパッシブデザイン住宅を建てるには?メリット・設計のコツを解説

2025.07.10(Thu)

STAFFBLOG

「冬は底冷え、夏は蒸し暑い…」そんな東京・神奈川の住環境でも、エアコンに頼りすぎず快適に過ごせる住まいづくりができたら理想的だと思いませんか?
そこで注目されているのが「パッシブデザイン住宅」です。自然の力をうまく利用しながら、断熱・通風・日射取得などの工夫によって、季節を問わず快適な空間を実現できます。

この記事では、都市部ならではの気候や敷地条件を踏まえた上で、東京・神奈川でパッシブ設計を行う際に押さえておきたいポイントや、実際の空間設計の工夫について、建築設計のプロの視点から解説します。

目次

  • パッシブデザイン住宅とは?
  • 東京・神奈川でパッシブ設計を行う際の注意点
  • 都市型パッシブデザイン住宅の工夫と実例

パッシブデザイン住宅とは?

パッシブデザイン住宅とは、自然エネルギー(太陽光、風、地熱など)を最大限に活用しながら、機械設備に頼りすぎずに快適さと省エネ性を高めた住宅設計の手法です。特に世界基準の一つである「パッシブハウス」は、以下の5つの設計原則を基づいて計画されます

基本となる5つの要素は以下の通りです:

1,高性能な断熱性(Thermal Insulation)

:外皮(壁・屋根・床・基礎)を高性能な断熱材で覆い、熱の損失や侵入を徹底的に抑えます。これにより、室内温度が安定し、寒暖差の少ない快適な居住環境をつくり出します

2,高い気密性(Airtightness)

:気密性能を高めて隙間風を防ぎます。n50換気回数0.6/h以下(C値に換算すると約0.2–0.3 cm²/m²)はパッシブハウスの基準値。気密性が高いと、熱が逃げにくく、換気計画が効率的に行えるようになります

3,熱橋(ねっきょう)の回避(Thermal bridge free design)

:構造の接合部やコーナー部分など、意図せず熱が伝わりやすくなる「熱橋」を防ぐ設計が重要です。断熱材の継ぎ目や構造体の断熱欠損をなくすことで、性能の「穴」を防ぎ、エネルギーロスを抑えます

4,熱交換換気設備 (Ventilation with heatrecovery)

:計画換気により空気を入れ替えつつ、温度交換(熱交換)で外気に含まれる熱・冷気を回収します。換気による温度ロスを最小限に抑え、エネルギー効率と室内空気質を両立します

5,高性能窓(Passive house windows)

:断熱性・遮熱性に優れたトリプルガラスやLow-Eガラス、高性能フレームの組み合わせで窓の熱性能を高めます。窓は日射取得と遮蔽の要となるため、開口部の位置・サイズ・庇設計まで含めたトータルデザインが求められます

この5原則+αで自然を味方に

パッシブデザインでは、この5原則を核として、さらに「日射取得と遮蔽のバランス」「自然通風」「光の取り入れ」なども総合的に設計します。東西南北の窓配置や庇の角度、風の通り道などをシミュレーションし、四季を通じた快適さを実現します

このように、パッシブデザイン住宅では、安心できる温熱環境と空気質を備えた暮らしを実現できます。次の章では、特に東京・神奈川における設計の工夫と注意点を詳しく解説していきます。

出典:PHI

東京・神奈川でパッシブ設計を行う際の注意点

東京・神奈川の都市部でパッシブデザイン住宅を計画する場合、郊外に比べて敷地環境や法規制の制約が大きく異なります。特に注目すべき違いは以下の3点です。

① 隣地に囲まれた敷地での日射取得対策が不可欠

郊外の開けた土地とは異なり、都市部では三方または四方を建物に囲まれた敷地が多く見られます。特に住宅密集地では、南側に隣家が接しているケースも珍しくなく、冬季に太陽光を十分に取り込めない状況になりがちです。

そのため、以下のような工夫によって、有効な日射取得を確保する必要があります:

  • 2階リビング+高窓の設計で、上空から日射を確保
  • 吹き抜け+トップライトの活用で、南面が塞がれていても上部からの採光を導入
  • 南東・南西側にわずかに開けた部分を活かした開口計画で時間帯ごとの光を最大限活用

都市型パッシブ設計では、“斜め上”からどう太陽を取り込むかがカギとなります。

② 防火・準防火地域では高断熱窓の選択肢に制限あり

東京・神奈川の多くの都市部は「防火地域」または「準防火地域」に指定されており、開口部には防火仕様が求められます。これが、パッシブデザインの肝である**「高断熱窓」の選定に影響**を与えることがあります。

たとえば、トリプルガラスや木製サッシの一部は、防火認定を取得していないものもあり、採用できる窓の選択肢が限られるのが現実です。

そのため、

  • 防火認定を取得した高性能樹脂窓・トリプルガラス窓を選定
  • 準防火仕様のシャッターや網入りガラスを併用する工夫
  • 開口部の面積や位置を調整して法規に対応

といった、防火規制と断熱性能を両立させる知見が求められます。

③ 都市型の夏対策には「積極的な日射遮蔽」が必須

郊外では植栽や庇の設置で比較的自由に日射をコントロールできますが、都市部では隣家との関係でそれが難しいケースも多くあります。特に夏場、隣地の反射熱や照り返し、都市熱の影響を受けやすいのが都市型住宅の特性です。

したがって、夏の快適性を確保するには以下のような「日射遮蔽対策」が不可欠です:

  • 外付けブラインド(オーニング)やルーバーの活用で窓の外側で日射を遮る
  • ガラス性能(Low-E遮熱タイプなど)の使い分けで窓そのものに遮熱機能を持たせる
  • シェードやグリーンカーテンを使った季節限定の遮蔽で柔軟に対応

外からの熱を「中に入れない」ことが、エアコンの消費を抑え、室内温熱環境を安定させる大きなポイントになります。

このように、東京・神奈川の都市部におけるパッシブデザイン住宅の設計では、「太陽光をどう取り込み、どう防ぐか」だけでなく、法規制・敷地条件・周辺環境を読み解いたうえでの工夫と柔軟な対応力が求められます。

次のセクションでは、実際に都市型パッシブ住宅で採用された工夫や設計事例をご紹介します。

都市型パッシブデザイン住宅の工夫と実例

東京・神奈川の都市部では、敷地面積・隣地建物・法規制など多くの制約があります。しかし、そうした制限こそが、パッシブ設計者の腕の見せどころです。ここでは、都市型ならではの設計工夫と、実際に私たちが手がけた事例の一部をご紹介します

光を「斜め上」から取り込む:吹き抜け+高窓の活用

密集地に建つ都市型住宅では、南側が建物に塞がれていても、上部からの採光を工夫することで日射取得が可能になります。実際の事例としては、2階リビングに吹き抜け+南向きの高窓を計画することで、暗くなりがちの2階リビングに明るさと冬場の日射取得を確保することが可能になります。

同時に要求される防火性能により開口部の種類の制限を受けますが、その中でもデザインと性能を同時に成立するような設計を心がけております。

中庭を利用した日射取得と日射遮蔽

ハイサイドからの採光以外にも、中庭を活用して日射取得を都市部で可能にする提案も有効である。都市部では、隣地の状況的にプライバシー確保が優先される状況も多い。そのため、中庭を利用してリビングダイニングに日射を取り入れながら、中庭に対して開放的に生活空間を延長することも可能である。

建物と中庭を囲う塀を一体的に計画することで、日射遮蔽のシェードも生活しながら取り付けられるように工夫することで、中間期のエアコンを使わずに通風利用で過ごせる期間を伸ばすことも可能になります。

設計は“制約”を超えるクリエイティブ

パッシブデザインの最大の強みは、「自然の力を活かす」だけではなく、限られた条件下でどれだけ快適性・機能性・意匠性を両立できるかという“統合的な設計力”にあります。

東京・神奈川の都市型パッシブデザイン住宅では、光・風・熱・視線・法規…あらゆる要素を読み解き、それらを「味方に変える」設計力が求められます。

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